海外や古くは日本でも、バッタの大群による農作物への被害が生じていました。
では、いったいなぜこのような現象が起こるのでしょうか?
その理由などについて、紹介していきたいと思います。
バッタが孤独相から群生相に変化する理由は?
これには2つの理由が考えられます。
1つは、天候の不順により食草が育たないと、餌場のあるところへ集まるからです。
このような多くの個体に囲まれて成長したバッタの子どもの体色に変化が見られます。
通常の緑ではなく、黄色や黒に変化します。このような状態を相変異と呼んでいます。
もう1つは、このような環境で育った幼虫は、互いを引き寄せるフェロモンを放ち、群れを形成するようになるからです。
周りの個体と群れることなく、単独で生活しているものを「孤独相」と呼びます。
体は大きく緑色の体色で、褐色の翅をもち慎重な性格になります。
暮らしている環境に比べて、バッタの個体数が少ない状態は、この相が出現します。
一方、周りの個体と一緒に生活しているものを「群生相」と言います。
小型で体色が黒く、翅は長く強くなり、長時間飛行が可能な大移動をするようになります。
移動中のバッタは性質が荒く凶暴です。
バッタの個体数よりも生活環境で賄える範囲が小さいために、さまざまな変化が見られます。
バッタの群生相が大移動する理由は?
バッタの群生相による農作物への食害を蝗害といいます。
アフリカにおいては、この被害が古来より多く、古書にもその記述が記されているほどです。
2003年、西アフリカで、サバクトビバッタの群れが大発生しました。
その群れは、東京ドーム280万個分もの広大な範囲に拡大していきました。
蝗害対策を行っている、国際連合食糧農業機関(FAO)の試算によると、
農業分野における被害国の総額は25億$にも上り、対策費として4億$を超す金額が投じられてきました。
バッタによる被害は2005年に天候不順が続き、気温が低くなる頃に終わりを迎えました。
このように、広範囲にバッタが移動するのは、安定した餌場を求めているためだと考えられます。
まとめ
孤独相から群生相へと変化する理由は、周りの環境によるところが大きいです。
食料が不足すれば、食料のある場所へ集まり、そこで相変異が生じ、群生相の子どもが誕生します。