バッタにまつわる2つの疑問について紹介していきたいと思います。
1つは、バッタを誘導して子孫を残すカビについてです。
もう1つは、バッタの卵の周りの包んでいる泡についてです。
カビに誘導されて高いところへ上るバッタ!
冬になると草むらで幅を利かせているのは、ツチバッタです。
この種は日本で唯一越冬するバッタとして知られています。
しかし、時にススキや草の穂にしっかりしがみつき、息絶えている姿を目にすることがあります。
ツチバッタにこのような習性があるのでしょうか?
昆虫病原性糸状菌(カビの仲間の微生物)の一種に侵されたためです。
糸状菌は、胞子を拡散させやすくするために、宿主であるバッタを操って高いところに移動させます。
そこで、高いところに達するとツチバッタは息絶えてしまうようです。
フキバッタの仲間やショウリョウバッタもよく感染し、茎の先で亡くなっているのを目撃します。
バッタの卵が泡に包まれるのはなぜ?
産卵の間隔は飼育条件下で、ほぼ1週間と言われています。
メスは産卵が近いと腹部の先を飼育箱の床面に着け、産卵管を閉じたり開いたりします。
メスは土の中に腹部を突き刺して、泡で包み込みながら少しずつ産卵します。
卵の塊はスポンジ状の泡に覆われており、これを卵鞘といいます。
あの泡には、卵を守る役割があるのです。
土の中で腹部はS字状に曲がって伸び、少しずつ抜きながら産卵するので、卵鞘はバナナ状になります。
オンブバッタは1つの卵鞘に40個前後、トノサマバッタは50個~100個の卵が入っているそうです。
産卵後は、腹部は短く、少し細くなりますが、4~5日程度で回復し、また元に戻ります。
産卵直後の卵鞘は白色をしていますが、翌日までには薄茶色になります。
余談になりますが、卵鞘は水をはじくので、大雨に見舞われても孵化することができます。
まとめ
バッタを誘導して、子孫を残すカビが存在するとは、とても意外なことで驚きました。
バッタの卵が泡に包まれているのは、卵を周りの衝撃から守ったり、水の侵入を防止したりするためです。