バッタやカマキリにエサを介して寄生する虫がいるのをご存知でしょうか?
労せずして相手を支配し、誘導し、水辺で最期の時を迎えさせる恐ろしい寄生虫です。
この寄生虫をテーマにして話していきたいと思います。
バッタが食べることで、侵入する寄生虫は?
その名もハリガネムシと言います。
体は左右対称で、種類によっては体長数 cmから1 mに達し、直径は1mmから3 mmと細長いです。
内部には袋状の体腔があり、体表はクチクラで覆われていています。
クチクラで覆われているため、乾燥すると針金のように硬くなることからこの名がつきました。
カマキリへの寄生は次の3段階に分けて、実に巧妙に行われます。
第1段階は、ハリガネムシは水生昆虫(カゲロウなど)に捕食され、その体内でシスト(休眠状態)に入ります。
第2段階は、ハリガネムシを宿した水生昆虫をカマキリやバッタなどが食べ、宿主の体内に侵入します。
第3段階は、特殊な物質を出してカマキリやバッタを水辺へ誘導し、尾から飛び出します。
成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませます。
宿主となった生き物は生殖能力を失い、ハリガネムシが飛び出すと亡くなってしまいます。
ハリガネムシは水辺で子孫を残し、次の中間宿主が来るのを待つことになります。
一説には、ハリガネムシが寄生できる確率は9割という報告もあり、バッタにとっては死神と一緒です。
数ヶ月の間に腹の中で、すくすくと成長していきます。
まれですが、休眠状態の寄生虫もしくは幼生のまま排出され、それを草ごと食べた草食性昆虫に寄生する場合もあります。
また、寄生された昆虫は生殖機能を失ってしまいます。
まとめ
バッタに寄生する虫がいたとは、まったく知りませんでした。
ハリガネムシは食物連鎖をうまく利用した、ズル賢い生き物だと思います。
こうして生態系のバランスが保たれているのかと思うと、うまくできているなと感じました。
できれば、ハリガネムシが脱出している瞬間に遭遇したくはありません。